プレスを使わない版画 - 木製バレン

Ritualis Press の木製バレンを紙の上で滑らせ、彫り上げたばかりのリノカットのインクを写し取る。そこには特別な感覚があります。時間と手間を惜しまず、すべてを手で行うことには、瞑想のような静けさと確かな手ごたえがあります。やわらかな紙とリノリウムのあいだでインクが押し出されるときの、あの感触と音のせいかもしれません。しかも、手刷りに必要なのは自宅のわずかな作業スペースだけ。だからこそ、リノカットプレスに代わる手軽な選択肢として、はじめての方から趣味の方、プロの版画家まで幅広く支持されています。

これは、プレスを使わない版画へのささやかな讃歌です。とくにリノカットを愛する仲間に届けばと思っています。版画におけるバレンの短い歴史、バレンの種類、そして私のお気に入りの道具をこれからご紹介します。

版画用バレンのルーツ

バレンを使った手刷りは、リノカット、木版画、木口木版、凸版印刷、その他のモノプリント技法で広く親しまれています。そして版画用バレンのルーツは、日本の伝統的な木版画、いわゆる「もくはんが」にあります。

日本の木版画の伝統において、バレンは円盤の形をした手道具です。厚い和紙を重ねた芯に黒漆を塗り、竹皮で包んだ構造をしています。竹皮の一方をねじって持ち手とし、道具そのものはなめらかで軽く、しなやかです。そのため作り手は、版の上を動くバレンの動きを手で感じ取り、細部、質感、紙の吸い込み具合に応じて圧力を加減できます。

伝統的な木版画のバレンには2種類あります。芯がより重い台用バレンと、より高価な本バレンです。本バレンは平たく編んだ紐を渦巻き状にした芯を持ち、より軽くしなやかで、細やかな感覚が伝わります。

一方、リノカットや凸版印刷のための現代の手刷り用バレンでは、無垢の木材や吹きガラスが使われることも増えています。こうした素材の頑丈な芯となめらかな面は、紙の上に均一な圧力をかけるのをよりよく支えてくれます。木やガラスの握りは、小さな持ち手のバレンとは違い、手のひらにすっぽりと心地よく収まります。

写真出典:MAU Art & Design Glossary http://art-design-glossary.musabi.ac.jp/baren/

版画用バレンの種類

日本の伝統的な木版画用バレンのほかにも、凸版印刷やリノカットに使えるバレンはいくつもあります。まず、とても安上がりな自作の方法があります。木のスプーンの背やなめらかなプラスチックで紙の裏を擦る、という具合です。リノカットを学びはじめた方や、家にあるもので費用を抑えたい方にはぴったりです。

そして、職人が手作りする木製バレンや吹きガラスのバレンがあります。これらの最大の利点は、手刷りで圧力をかけるときの快適さと支えの良さです。さらに、一点ずつに込められた手わざが、ホームスタジオや工房を彩る飾りにもなってくれます。プロ向けのバレンは、小さな紙から大きな紙まで、さまざまなデザインとサイズで用意されています。価格帯も、財布に無理を強いるものばかりではありません。

手刷りに使うインクと紙の種類

一般に、木製バレンやガラス製バレンでの手刷りには、なめらかで薄手の紙がいちばん向いています。おすすめは60〜120gsm(和紙なら150gsm未満)で、油性インクでも水性インクでも使えます。水性インクのほうが早く乾きます。

スプーンの背やプラスチックで擦る場合も同じです。薄手の紙のほうが安定してきれいに刷れます。かける力も全体的に少なくて済みます。

ただし、バレンをインクで汚さないよう気をつけたいところです。クッキングシートのような耐油紙を一枚はさむとよいでしょう。バレンと刷り紙の裏のあいだに入れれば、バレンはなめらかに滑ったまま、汚れから守られます。

Ritualis Press の木製バレン

趣味であり収集家でもある私にとって、安価なバレンや自作のものはどうしても物足りませんでした。竹のバレンは繊細すぎると感じましたし、家にあるスプーンの背やプラスチックを使うのもしっくりきませんでした。そこで見つけたのが、実用性と美しさを兼ね備えた Ritualis Press の版画用木製バレンです。

それぞれの木製バレンは、磨き上げたオークとアッシュによる一点ものの造形で、どんなアトリエにも合う3種類の色の組み合わせからお選びいただけます。しっかりコントロールできる握りやすい形で、オリーブオイルによるなめらかな仕上げが木の自然な美しさを引き立てます。同時に、無垢のオークとアッシュならではの重みが、紙にも布にも、より楽でなめらかな凸版印刷をもたらします。

そして、同じものがふたつとないバレンを生み出すチェコの木工職人を応援できることも、うれしい点です。一つひとつが丁寧に手作りされ、削られ、磨かれており、自然な色合いは棚の上でも工房の机の上でも美しく映えます。

Ritualis Press 木製バレン

そのほかの版画道具とアクセサリー

木製バレンガラス製バレンのほかにも、Ritualis Press では版画とリノカットのためのアトリエ用の道具とアクセサリーを一通り取り揃えています。

たとえばRitualis Press のリノカットプレスは、バレンでの手刷りに代わるプロ品質の選択肢です。A5、A4、A3サイズに対応し、どんな経験の方にも合うアクセサリーが揃っています。インクローラー、リノ印刷用インク、カッティングマット、フェルト、エプロンなど、ホームスタジオを整えるものがひととおり見つかります。

次のリノカット作品のヒントをお探しですか。Ritualis Press のInstagramコミュニティで、はじめての方から趣味の方、プロの版画家までが集う輪に加わってみてください。Ritualis Press の版画家や愛好家による動画に加えて、デザインのアイデアやレビューもご覧いただけます。

文:ジャスティン

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